コロナ時代の映画の戦い方と、デザイン | 西野亮廣エンタメ研究所 過去記事 20200713

7月13日(月)

バカと天才は紙一重(ギリギリ違う)という言葉があるけど、僕のまわりの「天才」と称されている友人は全員ことごとく「バカ」なので、言葉の改善を求めているキングコング西野です。

さて。

今日は『コロナ時代の映画の戦い方と、デザイン』というテーマでお話ししたいと思います。

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▼ どこでお金を生むか?

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先日、(株式会社NISHINOも少しだけ出資させていただいている)蜷川実花さんの新作映画の撮影現場にお邪魔させていただきました。

そこには、他の何にも似ていない圧巻の蜷川実花ワールドが広がっていて(※美術セットというよりも、テーマパーク!)、それを観た僕とSHOWROOM前田さんは同じ言葉を呟きます。

「この作品を映画のチケット代だけで回収するのは勿体なすぎる」

映画として素晴らしい作品になることは確信したのですが、美術セットの中を歩いた僕らは、『映像価値』以外の『体験価値』も見出だしていました。

蜷川映画の美術セットが並んだ美術館があったら、入場料1800円を喜んで払っちゃいます。

ディズニーランドみたいな発想ですね。

この場合、「『映像』を売った後に『体験』を売る」という二毛作を可能にするのは「背景IP(個性のある背景)」で、たとえば、僕の大好きな『踊る大捜査線』の美術セットが並んだ美術館があっても、僕は足を運ばないと思います。

つまり、『踊る大捜査線』は「映像」しか売れない。

ここから少しエグい話になりますが……

新型コロナウイルスがブイブイやっちゃって、「客席稼働率50%(※一席あけて座らなきゃいけない)」となっている時代は、【映像しか売れない映画の価値は下がってくる】というのが僕の見立てです。

コロナ時代(客席が埋まらない時代)は、「『映像しか売れない映画』はお金にならないから制作費が集まらない」ということが、アチコチで起こるでしょう。

映画を「チラシ」として捉えられないといけない段階に差し掛かっていると思っています。

(※「チラシ」と表現していますが、それは決して「手を抜く」という意味ではありません)

キンコン西野が絵本を「チラシ」にして、その後の展開を売ったように、

SEKAI NO OWARIがCDを「チラシ」にして、ライブ(テーマパーク)を売ったように、

「映画を見せた後に、何を売るか?」という問いが、今、全映画関係者の喉元に突き付けられています。

絵本の無料公開が大炎上したように、「キャッシュポイントをズラす」という作業は、道徳観のアップデートでもあるので、ほとんどの人が躓きます。

ただ、時代は待ってくれません。

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▼ 二毛作、三毛作を加速させる「デザイン」

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「映画」「光る絵本展」「ミュージカル」「VR」「人形劇」「スナック」「会議室」「美術館」……と、絵本の9次展開、10次展開をしている西野ですが、どういうわけか一番最初に手をつけそうな『グッズ』には本腰を入れておりません。

現在、世の中にある僕の絵本のグッズは、基本、先方から提案されたものに対して「いいっすねー。好きにやってくださーい」と言っているもので……僕が旗を振って作っているものではありません。

というのも、映画にしても絵本にしても、「二毛作目、三毛作目…」は映画や絵本のオマケなどではなく、ひとつの作品として成立させて、そこで圧倒的な結果を残すことが求めれているからです。

たとえば、僕は漫画『ONE PIECE』の大ファンなのですが、「ONE PIECEのイラストがコピペされているトイレットペーパー」は買わないんですね。

僕は、映画『もののけ姫』が大好きですが、「『もののけ姫』のイラストがコピペされているTシャツ」なんて、絶対に着たくないです。

つまり、「漫画表現で心地の良いタッチ」と「映像表現で心地の良いタッチ」と「グッズ表現で心地の良いタッチ」は、まったく別物で、「メディアによって表現は変わるものだ」というのが僕の考えです。

なので、絵本『えんとつ町のプペル』と、映画『えんとつ町のプペル』は、ストーリーすら違います。

40ページ(絵本)で見せるストーリーの最適解と、1時間半(映画)で見せるストーリーの最適解は、絶対に違うので。

ときどき、漫画の実写化で、スパイ役の役者が【黒のボンテージスーツ】で新宿を歩いたりしていますが、そんな「見るからにスパイな奴」にスパイ活動ができるわけないじゃないですか。

コピーしなければならないのは『表現』ではなく、『理念』や『世界観』で、ミュージカルにしたって、空間にしたって、VRにしたって、そこを汲み取れる作家さんと出会わない限り、進められないんです。

「絵本」だから、あのタッチを選んだだけの話なので、絵本のイラストをコピペしたグッズなんて、僕はあんまり要らないです(※プペルバスは素敵。他にもいくつか素敵なのはある)。

キチンと「グッズ上」に世界観を表現できる作家さんが見つかるまでは、グッズを出すつもりはなく、その人をずっと探していたのですが、この度、サロンメンバーさんの中から発見しました。

「かんかん」サンです。

すでに人形劇のスタッフとして入っていただいていて、同時に、トイレットペーパー等のグッズデザインも進めさせてもらっています。

今日は「なるほど。『えんとつ町のプペル』をグッズに落とし込むとなると、こういう解釈になるになるんだぁ」という面白さを皆様に味わっていただく為に、まだまだラフスケッチの段階ですが、サロン限定で共有したいと思います(※ナイショだよ)。

『マグカップ』『タンブラー』『スマホケース』…を想像した時に、(絵本のイラストもいいかもしれないけども)このタッチが欲しくなるでしょ?

決してコピペではなく、二毛作目、三毛作目…を「作品」としてして自立させる。

そこを整えて初めて、一毛作目をチラシとして振り切ることができる。

二毛作目や、三毛作目が弱かったら、一毛作目だけで予算を回収しなければならなくなるので。

この全体像をデザインすることが、映画だけではなく、今、あらゆる分野で求められていると思います。

現場からは以上でーす。

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

 

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