キンコン西野が語るエンタメ~モノ作りの再現の手順~ | 西野亮廣エンタメ研究所 過去記事 20200712

7月12日(日)

おはようございます。

『ゴッドタン』に出演しておいて肛門を捧げなかったことに対してガッカリされているキングコング西野です。

#なんでだよ

#普通は肛門を捧げねぇんだよ

さて。

今日は「再現の手順」というテーマでお話ししたいと思います。

僕は『エンターテイメント』を生業にしているので、その目線から(偉そうに)語らせていただきますが、基本はモノ作りの話なので、御自身のお仕事に置き換えて考えてみてください。

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▼ エンターテイナーの宿題

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エンターテイメント作りは、「あの日覚えた【なんか楽しい】をキャンバス上に再現する作業」なので、どういったパーツの組み合わせによって【なんか楽しい】が発生したのかを全て書き起こさなければなりません。

後輩には「面白いものを見たときは『なぜ面白いのか?』を考え、面白くないものを見たときな『なぜ面白くないのか?』を考え、言語化しろ」と、よく言っています。

「その作業しないのであれば、キミは何も見ていないのと同じだ」と。

なぜ、人は『炎』を長時間見てしまうのか?

そして、そこで導き出した数式は、例えば何に転用できるのか?

…そんな作業を四六時中やるのが僕らの仕事です。

そこに議論の飛躍などはなく、たとえば蜷川実花は蜷川実花の写真に多くの人が魅せられる理由を1~100まで全て説明することができます。

彼女と喋っていると、まるでプログラマーや数学者と会話しているような感覚に陥ります。

『一発屋』と呼ばれる人達は、この「感動までの数式」が描けない人で、それだと再現することができないんですね。

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▼ なんか、YouTubeライブよりも、インスタライブの方がリアル感があるよね

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たとえば、アイドルが自宅から生配信をする時に、YouTubeの生配信よりも、Instagramの生配信の方が、なんかエロくないですか?

Instagramの方が、その人との距離が近く感じません?

感じますよね?

感じるんだよ!

#感じろ

それもそのハズで、横画面(YouTube)だと、対象となる人以外の情報(背景となるスペース)が両サイドに発生してしまいますが、縦画面(Instagram)だと、対象となる人で画面が埋まります。

すっかりお忘れかもしれませんが、人間って『縦長』なんですね。

なので、人を切り取った(人にフォーカスをあてた)メディアの多くは縦長なんです。

『肖像画』や『雑誌』など。

…んでもって、ここで「書き起こし作業」を止めてはいけません。

問題は、この後です。

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▼ では、なぜ「横画面」が横行しているのか?

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たとえば富士山などの「景色」を見せるには、たしかに横画面の方が良さそうですが、明石家さんまサンの一人喋りを見るのであれば、縦画面の方がよくないですか?

ところが僕らは、対象物の形など問答無用で、テレビにしても、YouTubeにしても、映画にしても、【横画面】で受けとっている。

それはもう当たり前になりすぎてしまっていて、今となっては「なんでもかんでも【横画面】で受けとること」を何も疑っていない。

そもそも、どうして【横画面メディア】はここまで僕らの生活に定着したのでしょうか?

エンターテイメントを生業とする人間は、この「why」まで辿りつかなくてはいけませんし(※ほとんどの人がテレビ番組を観ている時に「なんでテレビって横画面なんだろうなぁ」とは考えずに観ている)、この「why」を息をするように解かなくてはいけません。

僕は【横画面】の由来を『劇場』だと見ています。

劇場のステージって横長じゃないですか?

あれには(もちほん)演出的な理由があるわけですが、それより何より、そもそもの問題として、ステージを横長にしないと「客席の座席数」が確保できないんです。

ステージを横長にしないと、多くの人に見てもらえないので、つまり、興行が成立しないんです。

だから、落語も一人しか出ないのに(横移動を一切しないのに)、ステージが横長なんです。

劇場の起源は神社仏閣ですが、人を集めることで回している神社仏閣の作りは全て横長です。

ステージが縦長だと、縦一列の(細長い)客席ができて、後ろの方とかもうメチャクチャ見にくいんです(笑)

「多くの人に届ける為には【横画面】じゃないとダメだった」という結論です。

このステージ上で生まれ芸術が、映画やテレビに落としこまれたので、画面が横長になったわけですね。

興行的な理由なので、【横画面】になると僕らはどうしても「作品」を見せられているように感じてしまう。

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▼ 今は【縦画面】でも数億人に届けられる

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ところがスマホが世に出てきて、世界中の人が「縦長のステージ」を手元に持ってくれてくれているおかげで、今は【縦画面】でも数億人に届けられるようになりました。

さて、これを何に転用するか? という話なのですが……前半で申し上げたとおり、『人』にフォーカスを当てるのであれば【縦画面】の方が向いています。

【縦画面】の方が人との距離が近いんです。

息づかいが聞こえてくるんです。

今、僕ら周りで『人』の魅力が一番出ているのは、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を制作しているNYブロードウェイチームです。

一世一代の大勝負に、100年に一度のウイルスが直撃した彼らは、「喜び」「悲しみ」「怒り」「焦り」といった感情の針がマックスまで振り切っており、人間汁がダラダラ垂れています。

#人間汁って何

そんな彼らの人間っぷりをドキュメンタリーで届けるには、【縦画面】の方が伝わるでしょう。

そんなこんなで、ブロードウェイ担当のセトちゃんに「今の状況は、縦画面でも撮っておきなよ」と指示を出させていただきました。

今後、ブロードウェイチームの縦画面のドキュメンタリーを見る機会があれば、その裏には今日の記事のような数式があることを思い出していただけると、一つ上の次元でエンタメを面白がれるかもしれません。

今日の話が何の参考になるかは知りませんが、僕は毎日このように分解・再構築を繰り返しています。

現場からは以上でーす。

【追伸】

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